芹香斗亜、退団発表に思うこと

今更で申し訳ないのですが、芹香斗亜さんの退団が発表されましたね。

2023年6月12日付で宙組トップスターに就任した彼女。

大劇場3作という短さでの退団となりました。

研17での就任ということもあり、もともと短期の予定であったことはほぼ間違いないと思いますが、最初から3作の予定だったのか、予定を早めての退団となったのかはわかりません。

生徒の急死と直接的な関係ないとおっしゃっていましたが、そう言うしかないですからね。劇団としては歌劇団側にすべての責任があると言っていますから。

私としては、パワハラはあったと認めた以上は、やはり加害生徒にも何かしらの責任を与えたほうが良かったのではないかと思ってしまいます。

公演再開のときも、退団会見でも一切事件のことを口にしないのは不自然と言いますか、逆にそれで芹香さんはさらに苦しんでいるのではないかとも思いました。

宙組の稽古場リポートなんか見るに堪えなかったですよ。

公の場での謝罪や追悼も違うのかもしれませんし、遺族がどう思われているかを完全に知ることは不可能なので、我々が口を出すことではないのかもしれませんが。

 

文春の内容がすべて本当だとは思いませんが、全て嘘でもないと思います。

きっと、以前からパワハラはあったのでしょう。だから、名前の出た生徒だけが悪いわけではないし、誰もそれを変えられない空気感があったことがおかしいことだと思います。

宝塚というのは特殊で、外の空気が入ることが極めて少ないです。ほかの企業ならもっと様々な種類の人間がいて、常識的な秩序が保たれると思いますが、宝塚は完全に閉ざされた世界です。

閉ざされた世界の中で独自に進化したルールが独走してしまったという側面はあると思います。

やっぱり10代の頃からそこで過ごしていたら世の中の常識ってわからなくなりますよ。

15歳から18歳までしか受験できないことである意味神聖化されている節はあると思いますが、時代に即してもっと幅広い年齢から受け入れてもいいのではないかと。

 

いろいろ言いましたが、それでも私は加害生徒に責任がないとは言えません。

ご遺族の心情は察するに余りありますし、なにか私がこのことに関して発言をするだけでも失礼なのではないかとも感じてしまいます。

ただ、彼女が2番手を8年も務め(近年では最長では?)、ついにトップとしての大羽根を背負った姿、喜びに満ち溢れた表情を思い出すと特にファンでない私であっても胸が苦しくはなります。

 

本当に人生ってタラレバである些細な選択や一瞬の出来事ですべてが変わってしまうこともあると思うんです。自死した彼女も何か一つではなくいろいろなことが重なり、何かがきっかけとなってこういう選択をしたのだと思います。

 

この件に関してどう思うかは、人それぞれ。100人いれば100通りの考え方があっていいと思います。何が正解ということもないと思います。

でももう過去は変えられないんです。

これからできることをするしかないんです。彼女の死としっかり向き合い、これからの歌劇団が時代に即した健全な劇団に生まれ変わってほしい。そう思います。

 

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望海さんのサンスポのインタビュー記事を読みました。

「時代に寄り添って宝塚の環境、公演スケジュールが変わっていったのはすごくいいことだなと思う。変えてほしかったし、やっていてすごく大変なことだった。それを苦しみながらやるというのが決して美談ではないと思っていた」と本音を吐露。しかし「追い込まれていたから出せたものもあったんですよ」と切り出すと、言葉に熱が帯びる。

「舞台って、まず稽古場で恥をかきなさいってすごく言われるんです。怒られて、これでもかと当たって砕けろを繰り返す厳しい稽古をして、最後にお客さまの前に出た時によくわからないけど、拍手をもらったときに泣くほどうれしかった」と懐古。「でも、これからはそれができないから、自分でどこまで高めて持っていくか。これはこれで大変だと思います」と私見を述べた。

確かにそうですよね。辛いこと苦しいことってその時は苦痛でしかないけれど、乗り越えた後振り返ると、あの時はあの時で有意義な時間だったって思うこともある。

もちろん、人格否定や稽古に意味のない侮辱などは決してあってはなりません。

ただ、舞台というゴールがないものを作る以上、そもそも、厳しい指導がだめだという現在の風潮とは相性が悪い。そこの絶妙な線引きは難しいとは思いますが、生ぬるい稽古場にはならないようにしなければならないですよね。

節度をもった緊張感や上下関係はありつつも、それが上級生絶対主義とならないようにしていってほしいと思います。